プラスなんてどこにも無いんだろう。
僕が思うに、心ってヤツは金属みたいなものなんだ。
批判されて、または賞賛されて、そんな事を続けるうちに形が変わってしまう。
叩かれて叩かれて、それでも強くなるとかそういうのじゃない、形が変わって心そのものが変わる。
強くなった弱くなったじゃなくて、つまり歪んでしまったんだ。
失恋したヤツは、例えばもう異性に話しかけられなくなったり、例えばとっかえひっかえ相手を変え続けたり。
リストラされたヤツは、会社員になることに嫌気がさして起業してみたり、またはいい歳こいて働かなくなったり。
更に心ってヤツは消耗品だ。
そしてその耐久性は個人差が大きい。
ほんの衝撃で壊れてしまう人もいれば、何十年生きてみたって形を保ってる人もいるだろう。
ただ大体の人間さんは、歪みに歪んだまま生涯を送ることだろう。
完全に消耗しきった心は限界が来て、自らの体を蝕むことも多い。
統合失調とか、うつ病とか、ノイローゼとか。
仕事や学校どころか普段の生活すらろくに送れなくなったり、死にたくなって本当に自ら命を落としてみたり、それどころか他人の命を奪ってみたり。
何度だって他人と触れ合って、心をぶつけ合って、お互いに歪ませる。
その結果は自己責任だ、誰も面倒見ちゃくれない。
馬鹿みたいな危険物、だけど、それでも僕は他人と心を通わせようと必死なんだ。
利益なんて何も無い、無価値で不自然なコミュニケーション。
僕はその無限のループに、永遠に逃れられない。